週間為替展望(ドル/ユーロ)-市場は好調な指標に注目

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◆米経済指標は強弱混在も、リスク選好が意識され好調な指標に反応
◆米雇用統計ほか今後の経済指標についても好調な部分に反応するか
◆ユーロは好材料に恵まれ、追加緩和の思惑が高まりにくい
(国際金融情報部・関口宗己)

予想レンジ
ドル円 100.75-103.75円
ユーロドル 1.3450-1.3750ドル

12月2日週の展望
 10月分の米経済指標は強弱が混在している。日米欧の株式市場が堅調に推移し、リスク選好度が高まっているため、米政府機関閉鎖の影響は部分的であると市場では受け止められている。為替市場は好調な指標を受けてドル買いやリスク選好の円売りで反応している。日本の機関投資家による海外投資への期待もドル高・円安の流れを後押ししそうだ。
 12月6日に注目の米11月雇用統計が発表される。10月の非農業部門雇用者数は予想を上回る前月比 20.4万人となった。11月は前回より伸びが鈍化する可能性はあるが、同 18万人程度の堅調な結果が予想されている。予想を大きく下回らなければ、ドル円は底堅さを維持するだろう。その他にも、2日の11月ISM製造業景況指数、4日の米11月ADP全国雇用者数と11月ISM非製造業景況指数、5日の7-9月期国内総生産(GDP)改定値と新規失業保険申請件数、製造業受注と重要指標が多数発表される。政府機関閉鎖の影響や労働市場の行方を占う材料として注目される。
 株価が高値圏にあり、ドル買い・円売りが進んでいただけに、低調な指標が続けば利益確定の売りが進みやすい点には注意しておきたい。ファンド勢の年度末のポジション整理もリスク選好地合いを弱める可能性がある。しかし、ファンダメンタルズに大きな変化がなければ、需給要因による相場圧迫は押し目買いの機会を提供することになろう。
 ユーロは、ドイツの大連立政権合意や企業支援を意識した長期資金供給オペ(LTRO)再実施の観測が支援材料となっている。独Ifo景況指数の改善など景気回復への期待も根強い。ドルを取り巻くセンチメント改善が対ドルでユーロ上昇を抑制することもありそうだが、堅調なユーロ円の動向が今後も下支えとなるだろう。
 5日の欧州中央銀行(ECB)理事会の政策決定をめぐり、欧州高官のマイナス金利導入への言及などを材料に思惑が交錯する可能性がある。しかし、成長への期待感に加えて、ドイツの政情が安心感を高めている状況では追加緩和を織り込みにくい。ECB理事会を材料としたユーロ売りは強まらないだろう。4年半ぶりの高値圏にあるユーロ円の水準に警戒感はあるものの、欧州当局の通貨高けん制発言は対ドルでの10月高値1.3833ドルの上抜けをうかがうような状態になってきてからと考えられる。まだ、上値余地はありそうだ。

11月25日週の回顧
 日米欧の株式市場が堅調に推移し、リスク選好が意識されたため、米経済指標の好調な結果を受けてドル円は5月以来の102円台乗せとなった。ユーロドルもドイツ大連立政権合意や欧州の景気回復が順調に進むとの見方から、10月31日以来の1.36ドル台まで上昇。ユーロ円は2009年6月以来の139円台回復を果たした。(了)

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