週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド円、短期的に買われ過ぎ

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◆ポンドドルは年初来高値圏に、2011年8月高値も視野入りか
◆ポンド円はテクニカル指標が買われ過ぎを示唆、値幅か日柄で調整も
◆加ドル円、円安地合いであるが対ドルでの加ドル安が上値を抑える可能性
(国際金融情報部・堀之内智)

予想レンジ
ポンド円 161.00-170.00円
加ドル円 93.00-98.50円

12月2日週の展望
 英7-9月期国内総生産(GDP)改定値は速報値と一致した。個人消費が成長をけん引している状態が浮き彫りとなった。それに対して企業投資は思ったほど伸びず、輸出は過去2年で最も落ち込むなど外需拡大が更なる成長のカギであることが示された。イングランド銀行(BOE)が指摘する外部の落ち込みと「経済のたるみ」が表面化している。BOEは失業率が目標水準に低下しても利上げの引き金にはならないと今週も強調した。ビーンBOE副総裁は利上げ開始の目安を6.5%に引き下げることも問題ないと発言した。ガイダンスは金利上昇圧力の抑制に効果があったが、労働市場の改善が顕著になれば引き締め時期を巡って市場が混乱することも予想される。28日の英金融安定報告では、「貸し出しのための資金供給」(FLS)による住宅ローンの優遇措置が来年1月に終了する方針が明らかになった。住宅バブルの発生を抑える効果はありそうだが、ローン金利の上昇や購入数の減少、個人消費の鈍化で景気回復が阻害される懸念もある。しばらくは駆け込み的な需要も期待できようが、今後数カ月の住宅指標には注意が必要だ。
 ポンドはテクニカル的な動きも後押しに対ドル・対円で上昇した。ポンド円は約5年ぶりの高水準を示現し、ポンドドルは年初来高値に迫った。もっとも、対ドルでの今年の高値は元日明けの取引の薄い市場で瞬間的につけただけであり、実質的には現在のレベルが最高値といって差し支えない。騰勢を強めれば2011年8月高値1.66ドル台までの一段高も想定される。ポンド円は表立った抵抗が見当たらないが、短期的には大幅な買われ過ぎが示唆されており、一定の値幅による調整か日柄を使った足場固めが必要となる公算も。主要国の株高に変化が生じ、円買い戻しが強まる展開もそろそろイメージしたい。
 加ドルは原油価格のさえない動きに上値を圧迫されている。イランが主要国と核開発協議で合意したことを受けて、NY原油先物の中心限月は27日に一時91ドル台へ下落。需給緩和の見方に加えて米国の原油在庫増加も追い打ちをかけており、エネルギー輸出の割合が多いカナダの貿易収支の悪化懸念が台頭している。米国で政府機関の一部が閉鎖されていた期間の経済指標に大きな落ち込みがないこともドル高・加ドル安基調に寄与している。加ドル円は引き続き7月、9月の高値水準97円半ばが上値の目標。円の先安感を背景にこの水準を超えるかどうかが注目される。ドル/加ドルが今年の対ドルでの最安値となる1.06加ドル前半の上抜けを目前にしており、対円の伸びしろを限定的にする可能性もある。

11月25日週の回顧
 ポンド円は約5年ぶりの高値圏まで一段高。リスク選好地合いを受けて円安が進んだことを背景に上値を伸ばした。ポンドドルがテクニカルな買いにも押し上げられて1.63ドル台まで上振れたことも支えとなった。ドル/加ドルは原油安を背景に1.05加ドル台で推移。加ドル円は円売り基調の中で上値をあまり伸ばせず96円後半で頭打ちとなった。(了)

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